断熱材のお話です。
現場で一階の床組みを手伝ったら下肢が激しい筋肉痛の辻井です。
「断・熱・材!」
まるで「熱」を「遮断」するかのごときネーミングですが、どの様な高性能断熱材であれ、なぜか遮断はしてくれません。
ほな、どうしてくれるのか。
そうです、熱の移動を緩やかに抑えてくれるのです。高性能な断熱材ほど、熱の移動が緩やかになります。
住宅の断熱の方法を大きく分けると、少し前に流行った「外断熱」と以前から有る「充填断熱」が有ります。
ご紹介したにもかかわらず、今回はそこには触れずに弊社が採用している「断熱材」の種類だけに絞って、お話を短くまとめます。
難しいお話をあえて単純に言うと・・・
平成11年に国によって「次世代省エネルギー基準」と言う 住宅に関する断熱性能の指針が定められていましたが、エネルギーの問題などを受けて平成25に国土交通省から新たな基準が定められ、平成32までに高性能な断熱を義務化する予定になっています。
11年までの経緯を簡単に表にまとめると
断熱材をここ数十年で見た場合、平成11年までで二倍程度の厚さが推奨されてきているのがいる事がわかります。
もっとヤヤコシイお話がお好きな方は下記からどうぞ。
木造住宅の総合情報サイト-長期優良住宅・省エネ・耐震診断・建築基準法・住宅性能表示http://jutaku.homeskun.com/syouene/2013point.html
少し昔の話です。
創業する前から、私が設計に携わってきた注文住宅には、世間の「通常」に比べて二倍以上の断熱材の採用をしてきたのですが、断熱材が分厚くなると、施工的にデメリットが多くなります。
サラリーマンだった頃から、経営者や工事担当、職人さんから沢山の苦情や苦言を頂きました。「こんなに沢山入れる意味が解らない!」と言われた事も有ります。
計算してたんですけどね・・・(^^;)
でも、私が独立する前に設計させて頂いたかたがブログをご覧になっているかもしれませんので、お伝えしておかなければならないでしょう。
『安心して下さい、入っていますよ』
(笑)
京都の大半の分譲住宅の床下の断熱材は、2~6cm程度の厚さですので、カッターで切れる厚さなのですが、私がお勧めしていた断熱材は9cmも厚さがありますので、カッターで切断する事が難しく、電動のこぎりでも一回では歯が全部に届かず、裏返して二回切ってもらう事になりますので、切るのも大変で、さらに厚みのある材料を押し込んで敷き詰める事も意外と手間と力が必要です。
次に、壁や天井の断熱材を現場に搬入すると、あまりに大量(通常の三倍程度です)になりますので、2室程度の部屋が、断熱材で天井まで一杯になります。
当然現場内は身動きがとりにくくなります。
そして、実際に施工すると分厚い断熱材は空気をはらむと大きくなりますので、ぐいぐい押し込みながら入れて行きます。
壁体内結露を防止するために分厚いビニールの様な物(ベーパーバリア)を外部に接する全ての部分に貼り込んでいますので、内装の壁板(石膏ボード)を貼る時には空気をはらんで大きく膨れた断熱材を ビニールごと押し込んで貼る事になりますので、かなりのパワーが必要になります。
大工さんいつもごめんなさい(笑)
ベーパーバリアを貼った状態
現場から文句を言われつつ、弊社の住宅は創業当初から全ての住宅に一貫して大量の断熱材を採用してきました。
平成25年の法改正で、やっと私の計算に時代が追いついてきた様で(笑)、
私のお勧めしていた断熱性能は、国土交通省の推奨値よりもわずかに高性能な断熱材になっています。
ちなみに北欧の断熱はさらにすごいのですが、気温の低さも日本の比ではありません。
そもそも気候自体が全く違いますので、白人至上主義的な刷り込みを利用した広告には注意が必要だと思っています(笑)
でも、色々なオトナの事情で、数年後には
「窓のガラスも二枚から三枚へ。外壁を分厚くして断熱材も大量に入れるのが良い」
・・・と言う風潮になっていくと思います。
ひげそりの二枚刃から三枚刃へ・・・と似ている気がするのは、私だけでしょうか・・・。
断熱材は厚みも大切なのですが、その性能も大切です。
ひとつの指標として、熱抵抗値(R値)(㎡K/W)という、熱の通りにくさを表す数値が有ります。
数値が大きな程熱の移動が緩やか・・・つまり高性能だと言う事です。
建設会社が公開している断熱材の施工写真を見れば、商品名などを判別することも出来ますので、どの様な性能かを調べて比較する事も出来ます。
同じように見える断熱材も、厚みだけではなく、性能と価格が全然違います。
さらに、断熱材の性能もさることながら、施工方法や工法によっても実際の断熱性能は左右されます。
・・・が、長くなりそうですので、また別の機会に書く事にします。
先駆者の設計、辻井でした。
注文住宅を建てるなら、嫌がる職人に、あの手この手を使って分厚い断熱材を入れてもらおうと現場にお願いする設計事務所にご連絡してみてはいかがでしょうか。