家を明るくするために照明を暗くする
あまりにも遅筆な為 もはやHPの制作会社のカタに、早くブログを書くように催促されなくなった辻井です。
目のメカニズムと照明計画の関係のお話です。
『どんな家に住みたいですか?』
とお聞きしたときに、多くのかたが
『明るい家!』
・・・とお答えになります。
さらに夜の照明も明るくしてください。・・・とおっしゃいます。
『はい!』とお答えしますが、辻井は全部言う事を聞く訳ではありません(笑)
まず、ありがちな 夜明るくしようとした家の行動をシュミレーションします。
夜道を歩き、家に到着しました。
遠くから見ても周りよりひときわ明るい玄関ポーチから玄関に入り、こだわった明るい照明を点灯します。
暗い廊下は嫌なので、明るくした廊下を通って、明るいLDKに入ります。
でもなんか暗く感じるので、LDKの照明をもっと明るくしています。
良かったです。明るくて。
さらに明るい廊下や階段室を通って個室に行こうとすると、なんだか少し階段や廊下が薄暗く感じます。
照明を足してもっと明るくしましょう。
よし!足元もくっきり見えます。
寝室で寝ようとしますが、照明を点けても室内が薄暗くてよく見えませんので、
一層明るい照明にしました。
あなた今から寝るのでは?・・・
最悪です(笑)
まずは夜道を歩いている間に目の中の瞳孔がジワジワと広がり、光を多く取り入れらるようになってきますが、これを暗順応といいます。(暗順応には30分~1時間程度かかるそうです)
光が取り入れやすくなった目に沢山の光量を浴びせると、今度は瞳孔が収縮して明順応がおこります。(明順応は40秒~1分で完了します)
・・・ので、玄関ポーチの照明は、そこそこが良いと言う事です。
次に玄関や廊下部分は段差や靴などが判る明るさに押さえる事で、明順応を出来るだけ抑えます。
すると同じ光量なのにも関わらず、LDKに入ったときに明るく感じる事が出来ます。
さらに、階段を暗めに設定する事は、恐怖感をぬぐい切れないのですが、段差へ光源を設置するなどの配慮と、家全体の照度を上手く設計する事や、瞳孔の動きを意識して照度をコントロールする事で、安全な階段にする事が可能です。
最後に、往々にして際奥に控える寝室へ行く際には、十分に目が暗順応していますので、明るすぎる寝室は不要となり、照度をコントロールされた寝室は、眠気を阻害しなくて済みます。
いかがでしたでしょうか。
家を明るく感じる為には、あえて照明を絞ってやることが有効に働く場合が多々あり、エコロジーの観点からは、電気代を押さえることも可能です。
照度を上手くコントロールされた家は、どことなくシックで落ち着きの有る雰囲気になるのですが、これらは私が考えた事ではなく、ホテルなどの設計では昔から行われていた事です。
ホテルなどの店舗照明は住宅照明に比べると工事価格が高い分、真剣に考えられている感が有ります。
最近照明器具メーカーに依頼して出てきた無料プランは『暗い!』と言われるクレームを避ける為か、やたらと照明器具を増やす方向になってきています。
照明の専門家は夜に現場に行って、実際の照明明るさを確認するのですが、照明器具メーカーが無料で出してくれるプランは、派件社員さんなど、パートタイムの人が作っている例も少なく無い様です。
パートのかたは、自分の作ったプランを夜現場に行って、確認したりしませんので、明るさ感の補正が出来る訳もなく、ましてや照明の数を絞ったプランは作れないと思います。
プランをする人間は照明の確認の為、夜にも現場に行った方が良いと思うのですが・・・。
手間を惜しんでいては、美しいものは作れないと思う辻井でした。
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