雨樋の話
年始に髪をグレーにして、ロマンスグレーを目指しましたが、色が抜けてスーパーサイヤ人の様になった 不本意な辻井です。
本日は雨の日や、雨の後に軒先から滴り落ちる雨水をまとめて流す装置、樋(とい)のお話です。
縦の樋
にとりついているのを縦樋と言います。デザイン的には無用なので無しにしたいですが、雨の多い日本ではな無いと困る事が多い事も事実です。
既製品の縦樋には、
①丸い断面形状のものと
②四角い断面形状のものが有り、
例外も有りますが、四角い方が価格が高い事が多いです。
ATTICの設計した家の縦樋は、見栄えを気にして、ほぼ全て角樋です。
たまにステンレスのパイプとかも使いますが・・・
ATTICでは固定用のバンドの無いタイプを好んで使用してきましたが、最近は耐久性を重視する傾向になってきましたので、バンドは許容しています。
竪樋は基本的にパイプの内側に水を流すものですが、
③チェーンの表面を伝え流すものや、
④パイプの表面を流すも既製品も有ります。
昔、有名な建築家先生が、
⑤Cチャンを樋樋に採用して、意外に成功したと何処かの記事で読んだことが有りますが、雨の伝う様子を見せるという無駄を楽しむ設計に感心した記憶が有ります。
横の樋
価格によって少しずつ形状が違います。
住宅用雨樋の⑥既製品はほとんどがプラスチックで出来ていますが、パナソニックさんの製品は鉄芯が入っているものが有り、耐久性に優れていますので、最近よく採用します。
商品によってデザインと排水能力、或いはデザインの差、価格差が生じます。
上記の様に、パナソニックの樋を使う場合、安い商品の場合は家一軒あたり15万程度で、高い商品の場合は40万くらいかかるイメージです。
一般的に分譲住宅は一番安いものから中くらいを採用し、注文住宅は中くらいから高級なのものを選ぶ傾向が有ります。
高額だと言われるハウスメーカーですが、なかでも一流処は比較的高い樋を採用し、二流以下のハウスメーカーは比較的安い物を採用しているところが興味深いところです。
オプションで落ち葉よけネットや雪用のカバーが一体になったものも有ります。
雨水を貯めて植木にやれるシステムも有ります。井戸を掘るよりはかなり安いですが、それでも少し高いので、補助金を活用すれば半額程度で補助金が出る場合が多いと思います。
日本でも100年くらい前の建物には⑦雨を地面で受ける様にデザインしたものも存在しますが、⑦樋無しをお客様に提案した事が有ります。
雨落とし
滋賀県の北の方の別荘地での計画で、落ち葉が非常に多い場所で、雪も多い地域でした。
雪が多い地域の場合は、軒樋をかなり内側に設置しますが、その場合本来の雨樋の機能を発揮する前に、詰まりと雪で壊れる事が多いためです。
落ち葉よけなどが⑧一体になった、元旦社の軒樋も有ります。
軒先と一体になっているので、シャープな外観に仕上がりますが少し価格が高めです。
最後に⑨内樋です。
本来とりつく位置に軒樋も縦樋も無い家が有りますが、これは屋根にスリット状の凹みを作り、そこに雨水を流す仕組みのデザインのものを差します。
バブルの頃に建てられた高級な家に良く見られたのですが、リスクが大きいので最近はあまり採用されません。ホテルやゴルフ場のアプローチなどでたまに見かけます。
軒樋も隠すくらいですから、竪樋も建物の中に隠してしまいます。
これらは、見た目がスッキリする反面、一滴の漏水も許せませんので価格が一番高くなります。
また、南面が正面になる家の場合、南面にバルコニーが来ることが多く、排水が目立つと思われる場合には排水を隠す事も多いです。
詳しくはこのあたりに書いていますので、ご参考まで。
要るけど無くしたい、こんな矛盾をなんとかしたい 辻井でした。
その他、過去の設計実例は、こちらから。最近は長岡京市内の物件がほとんどです。