屋根の話ヤネん。
・・・あ、すみません。
屋根の種類とか、その選びかたの事なんかを書いてみます。
今日は建築部材シリーズです。
建築物にとって一番大切な事は、生命財産を守る事だと思っていますが、いかがでしょうか。
・・・で、生命財産って、なんやねんって事ですが、地震とか台風や風雨に耐えるという事だと思っています。
住宅において一番大切なのは、防水と構造や耐久性で、その次にくるのは断熱性、動線や収納力などの利便性、三番目に大切なのは設備機器や美しさや余白などを含めた快適性だと考えています。
一番大切な構造的強度については、またの期会にお話しするとして、同じくらい大切なのが、雨が漏らない様に防水設計する事になります。
さて、建築で主に雨水を処理する部分は屋根とバルコニーなどのフラットの部分の2箇所になります。
●屋根のカタチ
屋根は一般的に斜めになっていますが、建築業界では何故か角度で指定しないという謎ルールが存在します。
横に10いって、上に4ついく勾配の屋根の事を4寸勾配といいます。角度で言うと21度くらいです。
余談ですが、横に10いって上に1いく勾配は1寸勾配、2は2寸勾配なのですが、10寸は何故か矩勾配(カネコウバイ)と言います。
矩(カネ)とは建築用語で90度の事を指しますが、三角屋根にした時に、頂点が90度になるからなのでしょうか?知らんけど(笑)
屋根はこう配(斜めさ)がきついほど雨水を素早く受け流しますので、排水的には良いのですが、急勾配になると、施工するときに人が滑ってしまうので、屋根に足場を組むなどの追加費用がかかってきます。足場を必要としない4寸勾配が多数見られるのはそんな理由です。
屋根仕上げは、デザインの嗜好、建築基準法や市区町村の条例、耐久性と経済的事情などによって決めるのですが、屋根材には決められている勾配の範囲が有って、例えば日本瓦は3.5寸~4.5寸くらいで葺きます。
屋根といっても、工事としては下地と仕上げに分かれます。
●屋根下地
完成後に見えるのは仕上げだけなので、下地を気にする素人さんはほぼいないと思いますが、実は仕上げと同じくらい下地が大切です。
ATTICでは最低でも改質アスファルト防水ルーフィングと言われる下地材を採用しており、予算がタイトになったとしても、これ以下の安価な材料に変更するご提案はしていません。
どの下地を葺いたところで業者に義務付けられている10保証の間は漏水しませんが、絶対濡らしたくないので、安全マージンを取っています。
本当はもっと多くの下地の種類が有りますが、書き始めると長くなりそうのなので辞めました。
勾配が緩くなるほど下地材に拘った方が良い気がしますので、どんな下地材が採用されているかを気にしてみるのも一興です。
●仕上げ材です。
屋根の材料は、おおまかに分けると瓦、板金、彩色スレートに分かれます。
性能的には・・・
耐久性は 瓦>板金>彩色スレート
価格は 瓦=板金>彩色スレート
重さは 瓦>彩色スレート>板金
・・・といった感じの特徴が有りますので、価格とデザイン、お好みなどを加味して決めます。
さらに瓦を形状で分けると
日本瓦、平瓦、スペイン瓦に分かれますが、漆喰を使用する日本瓦やスぺイン瓦は、丸とガタガタ部分の隙間に詰めるしっくいのメンテナンスが25年おきに必要になります。
ですが、焼き物である瓦自体は100年前後の耐久性が有るそうですから驚愕です。
セメント瓦
気を付けないといけないのは、焼き物の瓦にそっくりなセメント瓦で、耐久性は15年くらいで、表面の塗装が剥離すると、とんでもない漏水状態になりますので注意が必要です。
見分け方は、断面がオレンジ色が焼き物。灰色はセメント瓦です。
少し高いですが引っ掛ける桟を樹脂にすると瓦がズレるリスクを減らせますのでお勧めです。
彩色スレートのメリットはズバリイニシャルコストが安い事です。
建売を含めると一番多く採用されている気がしますが、10~15年おきに板金の補修や葺き替え、再塗装などが必要になりますので注意が必要です。最近は寿命の長い商品も出て来ましたが、色の保証は10年になります。
葺き替えやメンテナンスの際には足場が要るので、外壁のメンテナンスのときに合わせて施工すると合理的だと思います。
板金屋根は色々な種類が有りますが、大凡15~20年でメンテナンスが必要になります。
表面の塗装が粉だらけになっていくチョーキングが出る状態がメンテナンス時期の目安だと思います。
しかし、基材が耐久性の高い仕様だった場合、そのまま放置しておいても下地のルーフィングの仕様によっては、さらに10年くらい雨漏りしない可能性はあります。
あと、ステンレスのシーム工法の場合、耐久性は50年くらいと言われていますが、高額なので辻井は採用したことがありません。
フラットルーフ
見た感じ平たい感じの屋根をフラットルーフと言います。
大体横に50行って上に1ア上がるくらいの勾配、1/50くらいのほぼ平たい屋根を差します。
外観上斜めの屋根が無い様に見せられますので、デザインをシンプルに見せられる他、歩けるようにして、バルコニーに使ったり出来ます。
この部分に関しては上記でご紹介した屋根材は使わずに、防水を施します。
防水には鉄板、FRP防水、塗幕防水、シート防水、アスファルト防水などが有り、これらの2種類以上の長所を生かして合わせて使う複合防水が有ります。
昔はアスファルトの熱工法と言って、ドロドロに熱した真っ黒のアスファルトをひしゃくで撒くといった工法が一般的でした。
セメント仕上げとの相性が良く、上手く施工すると20年以上漏水しない工法でしたが、最近は見なくなりました。近年はガラス繊維ポリエステルなどの樹脂で固めたFRP防水が最もメジャーです。
フラットな部分は勾配屋根よりも濾水事故の多い部分なので、少し高くなりますが、複合防水をお勧めするようにしています。
複合防水
見た目はFRPなので、複合とはわかりません。
さらに予算が許せば、ステンレスの鋼板を使った30年保証の防水をお勧めしています。
通常防水は10年保証なので3倍の耐久性がある事になりますが、予算も3倍なので場合によってはこちらが良い場合が有ります。
タイルやデッキを浮かせて施工する場合は、30年持つ部材の方が、再施工する手間をなるべく減らす事が出来ますのでお勧めです。
マルチポストを使う事で、防水槽と室内の段差を15cm取りつつ、バルコニーの段差を0に出来ます。
かつ、保証会社さんに10年の瑕疵担保責任保証を出してもらえます。
だいぶん省略して簡単に書こうと思ったのですが、結果的に長ったらしくなってしまいました。すみません。
京都の設計事務所、ATTICの辻井でした。
コダワリの詰まった実例を掲載していますので、ご興味が有れば以下からご覧ください
実例はこちらから。
商工会で作ってもらった動画が好評です。弊社尾崎の自邸で撮影させて頂きました。
Youtubeで辻井が喋っています。
こちらも是非ご覧ください。