建築の現場で、いわゆる『建築あるある』のお話を。
設計と現場、そしてお客さまとの間にはギャップが有りますが、そんなお話をつらつらと書いてみます。
①現場施工説明書を見ない説
設計は図面を書く際に必ずメーカーの図面を見ながら図面を書きます。ごくまれに適当に書く人もおられますが、そんな人はヤバイ人です。
一方、現場には(日本製品の場合は)必ず施工説明書が付いてきますが、あまり見ずに施工するかたが多く見受けられます。なんとなく出来上がってしまった場合は再確認する方がいいです。余ったビスや、パーツはそのままゴミとして捨てられていますので不安になってしまいますから・・・。
特に特殊な部材の場合は、私や弊社のオザキが現場に説明をしに行っています。
②職人、尺貫法で喋る説
現場では何故かいまだに尺や寸という単位を使います。
この業界に入って初めて現場に行ったときに本当に驚きました。設計図書の何処にも尺や寸の表記が無いのにも関わらず、現場の会話には尺(しゃく)や寸(すん)が頻繁に出て来ます。
尺は303.03㎜の事、寸は30.303㎜、分(ぶ)は3.0303㎜の事ですが、現場では303、30、3mmとして扱います。
日本では古来から起きて半畳寝て一畳と言うくらい、畳の寸法を基準として広さや単位を扱う風習が有ります。
ちなみに畳2畳で1坪(つぼ)といいます。畳の寸法が910㎜×1820㎜と定義されていますので、1坪は1.82×1.82=3.3124㎡となります。
何故か1.818×1.818ではありません。謎です。
さらにホンケンなる用語も有りますが、長くなるので割愛します。
現場に搬入される板状の材料はこの畳に近い寸法のものが基準サイズになります。但し、畳の短辺は3尺、長辺は6尺なので、短辺909㎜長辺は1818㎜になりますので、実は数ミリの誤差が有ります。
現場ではこの合板を通称『サブロクのコンパネ』とか呼びます。
プロっぽい!!
・・・・あ、コンパネの話はこの辺を見てください。
さて、同じ様なサブロクの合板でも、メーカーによって実は微妙に寸法が違うので要注意です。1820と1818の違いみたいな感じです。現場では常識なので、いちいち職人さんは実寸法を測ってから作業をします。
ちなみに、35角の材料は『スンサン』と言います。1寸3分角の事で、30.3+(3.03*3)=39.39mmのはずなのですが、35㎜あるいは36㎜角の材料を差します。これはノコギリの分の挽目を引いた寸法を差すと教えてもらいました。(ほんとか?)
40㎜角が欲しいときは、『ショウスンサン』正寸三を頼むとも教えてもらいました。頼んだこと無いけど。
設計的には910㎜角を一桝としてグリッドを引いて平面計画をします。一枡をイチピッチ若しくはワンピッチと呼び、それを基準として設計しています。これは材料をソツ(ゴミ)無く合理的に設計施工する為です。
それにしても前近代的な風習ですね。
ちなみに日本ではメートル法の定規しか作ってはいけないので、尺寸の定規やメジャーを作ると犯罪になるそうです。
ですので、現場には変な寸法の定規が有ります。
一見わかりませんが、よく見ると・・・
1は1m/33m
1m÷33m=0.030303mと言う意味です(笑)
1寸でええやん、一緒やん・・・・と思うのですが、あかんらしいです。計量法9条だそうです。
ちなみにこれはサシガネといいます。大昔は、これを踏んだりするところに置くだけで親方にヤラレタそうです。
③勾配は寸
はい、ここにも出て来ました『スン』
でも前の項目とは全く違います。
屋根の斜めは角度の単位『度』ではなく寸を使います。
横に10いって縦に5上がると5寸勾配、6上がると6寸勾配と言います。
10上がる場合は何故か10寸と言わず『矩(カネ)コウバイ』と言います。
90度の事を矩と言いますので、屋根のてっぺんが90度になるので、『カネコウバイ』と言うのだと思います。
しらんけど(笑)
④やたら専門用語多し
なんでか専門用語が多いです。特に大工さんは色々な業者さんと喋るので、物知りです。
ですが、いつも現場では業者と喋っているので、専門用語で喋るのが普通になっています。
設計でも現場に慣れないうちは何を言っているのか皆目わかりません。
『その先から尺五寸ほどいったとこにカリスジ打ったけど、ちっとチョウモンばちってるからなおさんとあかんな~』的な。
難しいです(笑)
辻井がお客様と一緒の時は、現場で職人さんが喋っている内容を同時通訳の様に詳しくご説明しますのでご安心ください。
でないとほとんどわからないので(笑)
コダワリの詰まった実例を掲載していますので、ご興味が有れば以下からご覧ください
実例はこちらから。
注文住宅のよもやま話の関連のリンクは下記からどうぞ。
商工会で作ってもらった動画が好評です。弊社、尾崎の自邸で撮影させて頂きました。
Youtubeで辻井が喋っています。ヘラヘラしているのが少し鼻に付きますが、緊張の裏返しですので、お許しください。
是非一度ご覧ください。