本年一発目のお題は、『アツミ論』です。
今更ながら、明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。本年も宜しくお願い致します。
消費税の関係で、建築業界がごった返していて、あおりでバタバタしている辻井です。
またもや『何を言い出すのか』的なお題ですが(笑)
我々の存在している世界は、縦横のXY軸に高さのZを加えた3次元で物の形を捉えます。
(時間を加えて4次元の世界とも表現する場合もありますが、話が長くなるので割愛します(笑))
設計をしていると、いろいろな場面でZ軸、つまり物の『アツミ』を決定する場面に遭遇するのですが、ロジカルシンキングデザイナー(ナンジャソリャ)な辻井は、適当に決定出来ない性分なので、困りものです。
具体的に例を挙げていきます。
分かりやすいは壁や柱の『アツミ』です。
通常は躯体(骨組みの事です)に下地の合板を貼り、その上に仕上げをすると一定のアツミに仕上がるのですが、特に安定感を持たせたい部分には、少しアツミを足したりします。
シンプルモダンや洋風な外観を目指しているはずなのに、15cm程度のヒョロヒョロしたポーチ柱は、見るからに木造感丸出しで、見るに堪えないと思うのは私だけでしょうか?(※和は別です。他にも例外はいっぱい有りますが・・・)外観における『アツミ』は、必ず考えなければならないポイントだと思います。
間接照明や建築化照明と呼ばれるコーブ照明やコーニス照明のデティールにもこだわってっています。
どこからどのような光を出して、どこにどのように光を当てたいかを考えて、それらを出来るだけ邪魔しないカタチを探し出して決定します。
これは、水平部分に鋭いエッジの様な間接照明をデザインしました。
また改めてご紹介します。
他では、無垢の木を使った時には木口(木の断面部分です)を見せる様にデザインし、シートや単板貼り(薄くスライスした板を貼った)仕上げの時は、極力木口は見せない様にデザインします。
これも『アツミ』の見せ方です
ステンレスの板厚が、ある程度の厚さに達していなければ、折り曲げて材の断面を見せない様に考えます。
写真下半分の格子と上部の外壁は、良く見ると出ている寸法が揃っていますが、偶然ではありません。
上部の壁一面をわざわざフカして(出っ張らす事です)同じになるように調整してあります。
また、軒の出を出来るだけ多く取りたかったのですが、どうしても法規制の関係上取れなかったので、垂木(屋根の木です)の下を全てカットしてアツミを薄くして、軒樋の下部と高さを揃えてやる事で、軒先が長くなった様な印象を創りだしています。
きりがないのでこの辺で切り上げますが、(既に長すぎでしょうか?)アツミは『厚さ』に『味』があって、初めて『厚味』と言える・・・と誰かが言っておられたのですが、その通りだと思います。
私はデザインする時には、『アツミ』は結構大切なファクターの一つだと考えています。
次回は、『マ』について書こうかなと思います。
一見ドウデモヨイ様な部分の集積が美しいデザインを創るのだと、勝手に思っている辻井でした。