時代にふれる家House to touch in the times

設計データData

竣 工 2016年4月
坪 数 31.76坪
場 所 京都市南区

エピソードEpisode

ホームページをご覧頂き、お問い合わせから設計のご依頼いただきました。


ヴィンテージテイストが漂う都心型住宅が出来上がりました。

土地のご購入前からのご相談を頂きましたので、お客様が捜された土地を知らせて頂き、都度に専門的な観点からアドバイスをさせて頂きました。

最初に見させていただいた土地は、なんと河川敷の堤防から接道する土地でした。

2m程度の堤防から坂道をくだると言う強烈なシュチュエーションに、変わった土地好きの辻井の目が輝きましたが、工事費が無駄に掛かり過ぎるので次を探すこととなりました。

二つ目の土地はタイミングが合わず。

3つ目の土地は全面道路が狭いこと意外は結構有望な土地でした。
・・・が、カラスが多いとの理由で断念です。

カラスくらい・・・と思いがちですが、そうではありません。

私が大切にしているのは、お客様と土地のイメージを基盤にした私自身の『ヒラメキ』です。

つまり、他社と弊社が決定的に違う部分は、いわゆる『カン』だと言えなくも無いです。
・・・ですので、なにかはわかりませんが、何らかの原因でこの土地を避ける事を感じられたお客様の『カン』は大切にすべきだと思っています。

建築地は、当初の予定よりもかなり京都の中心に成りました。

徒歩圏内で全て済んでしまう便利な都心で、京都の町屋が立ち並ぶ場所に決まりました。

ここは、不動産業者が『たてうり』で販売するには少し大きい土地で、逆に二つに割ると小さくなり過ぎますので、建築条件(建築条件とは、土地を購入すると、もれなく指定の建築会社が付いてくる仕組みで、お客様が指定する建築会社に変更すると、土地価格の1~2割程度を支払う必要が出て来るという恐ろしい仕組みです。)がありません。
まさに注文住宅にはうってつけの土地です。

写真では細い土地に見えますが、実際にプランをしてみると、意外に間口が広く、プランに余裕が有ります。

なんといっても、『長さ』と言う特徴のある土地の個性を生かして設計出来ますので、設計者の腕の見せ所です。
二方向を道路に接しており、両方の道路幅員とも3m程度にです。道路が狭いと普段車の出し入れに苦労しますが、お子様の飛び出しや防犯性などの側面からは、車が自然と徐行しますので、メリットが有ります。

都心ですので、それほど自家用車に頼らなくても良い土地ですので、お客様によってはメリットが有ります。
土地選びのご参考に。

コンセプトConcept

町屋の建ち並びに、突如白い建物が出現します。

黄金比を意識した壁のバランスに気付けば、美しいと感じることが出来る外観です。

一歩中に足を踏み入れるとシンプルな中、端々にヴィンテージなテイストが漂ってきます。
マットな床、木製(無垢)の輸入建具など、枚挙にいとまがありません。

リビングのドアを開けると、家の一番奥まで目線が通りますので、奥行き感がかなりあります。
これが、細長い土地のメリットです。

玄関の段差は4cmに抑えられているところや、ドア上のアーチは、お客様のコダワリのディティール。
振り返ると大容量のシューズクロークが有りますので、いつも玄関を美しく保てます。

デッキを備えたリビングの外側には、プライバシーを確保する為の高い塀が有ります。
この塀はタイル貼りで、外観の表札が付いている塀のタイルと同じにしています。


テーブルのエッジとろくろ加工された木の脚に注目です。

ソファーは家具工事で造り付け、エクステンション機能の付いたダイニングテーブルも特注です。
階段の手前に見えるのは黒板です。

ソファーの上から白い光がこぼれていますが、これは二階の廊下の上に付いた天窓からの光です。
都市型住宅で快適に過ごすには、プライバシーを確保出来る高い塀と、採光を効率的に採れる天窓が最も有効です。

階段の部分の照明は、足元に付けるフットライトを高い位置に取り付けて、天井の照明をなくしていますのですっきりした印象になります。
同じく二階の廊下も全てフットライトとし、夜の柔らかい光と視線の『抜け』を意識して、長い敷地を生かして設計します。

最後の写真は、天窓からソファーに降り注ぐ光の上部にあたる廊下の写真です。

ご主人が音楽の造詣が深く、レコードを聞くのがご趣味との事でした。
音楽とインテリアは何故か似た部分が多い様です。特に今回はインテリアコーディネーターさんの力をお借出来て良かったと感じました。

打合せ中の雑談の中で、とあるミュージックビデオに出てきた『絵』が誰の書いたものか判らなかったんですが、ずっと気になっているんです・・・と、私がお話したところ、ご主人もたまたま同じものをご覧になっており、作者をご存知だったばかりか、作者の生い立ちやバックグラウンドまで教えてもらいました。


こんな絵です(笑)

今回の建物に、美術や音楽の知識が深いご主人の感性の鋭さが出ています。
そのセンスに包まれて奥様が寄り添われている様な家になりました。

実際の物件は『質感』がもう少し有りますが、私のへたくそな写真では伝わりきってない感が少し有ります・・・。

写真練習します。 ATTIC辻井でした。

  • リビングの照明スイッチは、真鍮の鋳物のプレートです。リビングの照明スイッチは、真鍮の鋳物のプレートです。
  • トイレの手洗いは少し落ち着いた雰囲気に。トイレの手洗いは少し落ち着いた雰囲気に。