狭小プランで良くあるご質問
京都市内、特に中心部には間口の狭い土地が多くあります。
先日京都市内の狭小物件のプランをお出ししたお客様と打ち合わせをした際に、色々と質疑を頂きました。
頂いたご質問の中に、我々設計者は既知の事でも、お客様が気付きにくく、かつ鋭い質問がいくつかありましたので、ピックアップしてみました。
Q1.このビルトインガレージにはシャッターは要らないのではないのでしょうか。近隣のビルトインの駐車場にはシャッターが無いのですが・・・。
A.準防火地域で木造の3階建てを建築する場合に準耐火建築物などにする必要が有ります。準耐火構造とするには各部に細かな制限が有り、ビルトインガレージの開口部には防火設備(シャッターなど)の(設備の)要求が有ります。ビルトインガレージが有るのに現状シャッターなどの付いていない物件については既存不適格であったり、違法改築されていたり、そもそも虚偽記載して建築確認申請をしていた可能性も有ります。但し京都市の単体規定の取り扱いでは単体規定の3-3として車庫の出入りに必要な開口部については条件付きで設けない事が出来ます。しかしながら、必要な防火設備が施工されていない物件は、隣家などの火災の際のもらい火などの事を考えると恐ろしいと思います。
Q2.ビルトインガレージは狭いので、ドアを広く開けられないのではないでしょうか。
A.ドアの位置を開口部にする事で、外壁厚と隣家までの距離を稼げますが如何でしょうか。
以下は、京都の狭小間口のタテオコシ物件ならではのご質問です。
Q3.配管の点検はどうするのでしょうか。
A.基本的には給水と雑排水は建物の外を廻さず、道路から直接建物内に引き込みます。床下や土間コンクリートに枡を設けて点検は可能にします。更に基礎を貫通して配管を入れる際にはさや管方式にしてメンテナンスを容易にします。
Q4.隣地境界線から20㎝くらいしかないタテオコシ部分の外壁のメンテナンスは出来ますか。
A.有孔壁面後退を20㎝とした場合は人が侵入する事すら不可能になりますので、実質的にメンテナンスが出来なくなります。少し高価ですが、ニチハ社のサイディング、プラチナコート30(美しさが40年以上続き、保証が30年を誇る外壁材)を見積もりに入れています。
ゼロクリアランスで建築されている場合は、そもそも痛みや紫外線劣化は少ないのですが、隣家が老朽化して傾いてきている場合は40年内に建て替わる可能性が高く、建て替わった際には隣家と併せて40㎝の有効寸法が有ると、単管足場でメンテナンスが出来るようになってきます。とはいえ、リスクヘッジするならばタテオコシを避けて離隔距離を取る方が安全ですが、その場合はビルトインガレージを設計したり、耐震等級3を確保する為の壁の確保をする事が難しくなってきます。
その場合には少し費用は増えますが、SE工法などの大断面集成材を使った木骨ラーメンの様な構造を採用する方が望ましくなります。
Q5.そもそも隣家に対してギリギリに建てても良いのでしょうか。
A.民法上は、隣家までの離隔距離が50cm以上空いている場合は、50㎝以上後退する必要が有ります。
但し、隣家に承諾を頂ければギリギリ迄寄せる事が出来ます。
隣家までの距離が20㎝だった場合は20㎝まで寄せても承諾は不要だという事になります。
Q6.タテオコシ面の隙間のところは歩けますか?
A.狭いので歩けません
Q7.タテオコシの面の隙間の地面に雑草が生えたらどうすればいいのでしょうか。
A.壁を作る前、基礎工事後の時点で、隣家との隙間にはモルタルを施工して雑草は生えなくします。
さらに、勾配を取って自然に雨水も掃けるようにします。
ちなみに、施工時に釘などが隙間に落ちたときは、棒の先にガムテープを付けてくっつけたり、ホースの水で押して反対から拾います。
その他
狭小間口敷地に建物を間口いっぱいに建てる場合、安価にかつ強度を高く建てるの有れば枠組み壁工法一択です。
出来るだけ安価にと言うのであれば、在来工法の内張り工法でも良いと思います。奥行方向の壁の強度が極端に弱くなりますが、そもそも奥行方向の壁は大量に有りますので、耐力を取るのに苦労しない為、強度が簡単に確保できるからです。在来工法は細かいところが不明瞭なので、きっちりとした設計監理が必要になる事は言うまでもありません。但し、サイディングの金物工法は施工出来ないと思います。
その他、様々ご質問頂きましたが、狭小ならではのお話はこのくらいでしょうか。
コダワリの詰まった実例を掲載していますので、ご興味が有れば以下からご覧ください
実例はこちらから。
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商工会で作ってもらった動画が好評です。弊社、尾崎の自邸で撮影させて頂きました。
Youtubeで辻井が喋っています。ヘラヘラしているのが少し鼻に付きますが、緊張の裏返しですので、お許しください。
是非一度ご覧ください。