相当の築年数が経過した伝統工法の一戸建ての改装工事のご依頼を頂きました。
OBのお客様のご自宅をご覧になった事がきっかけで弊社をご紹介頂き、お仕事をさせて頂く事になりました。
地方においては、ご近所の大工さんに工事をお願するのが通常で、近所ではない会社に依頼するだけで近隣の大工さんに『角が立つ』場合も少なくありません。
事情をかんがみて、今回は工事前にご近所の大工さんに工事をさせて頂く旨のご挨拶をさせて頂き、承認頂いてから、工事に入らせて頂きました。
こちらの住宅は、地元の大工さんによって何度かの改装を重ねられていたのですが、隙間に新聞紙を詰めるなど、良いとは言いにくい工事もされていましたので、全面的に撤去してのやりかえ工事になりました。
改装工事は、実物大での打ち合わせが出来る事から、実際のスケール感を把握して頂きやすいと言うメリットが有ります。
順調に打ち合わせは進んだのですが、いつものごとく改装工事ならではの問題が出てきます。
『全て綺麗にしたくなる』事と、『コスト』のバランスです。
紆余曲折有りましたが、無事打ち合わせを終了して最終金額を確認して頂き、着工に入りました。
ちなみに地方の大工さんに依頼する場合には、それなりの『予備費』をもっておく必要が有るそうです。
簡単に言うと、大工さんの見積もりは『感ピューター』による積算になる事も多い為、最終金額が多少変動するそうですので、『思ったより金額がかかったから、追加金額を下さい』となる事も往々にしてある様です。
古民家の改装の難しいところは、構造的に脆弱なところを効率良く補強していく事です。
建築には根治解決をしないと、トラブルを繰り返すと思われるところが有りますが、今回のケースでは床下の湿度のコントロールをする事が重要でした。
床下全面に防湿フィルムとコンクリートの打設する事によって、まずは柱の根元の腐蝕を止めつつ、ブロックや木片の上に乗っているだけの柱脚に鉄筋コンクリートで基礎を作り、追加した柱と合成する様な補強を施しました。
防湿コンクリートを敷き詰められた床下と、束石から鉄筋コンクリートに置きかえられた基礎の写真
左)木片の上にチョコンと半分乗っかっている既存の柱脚・・・怖いです。
右)ぼろぼろになっている柱脚は取り替えます。
先ずはジャッキアップして上部の荷重を支え、ボルトにて新しい4寸角のヒノキ材を沿わせて緊結します。腐った柱脚を取り替え、スクリューワッシャーを使って『根継ぎ』を補強します。
通常は座彫りとボルトによる補強をするので、柱から出っ張らない様にするには『座彫り』と言って、大きく柱を掘り込みますがこちらは断面欠損しない特殊なボルト『スクリューワッシャー』で固定しています。
一般的には金輪継ぎと言われる仕口を使う取り替え方法が多いのですが、今回は相欠継とし、M12ボルトでガッチリと固定する事にしました。
上から下までボルトを閉め込んで補強完成です。
隙間が多く寒かった床下や壁に断熱材を入れ、気密性と断熱性を持たせました。