住宅とホームオフィスを兼ねる計画ですので、規模的に56坪と、少し大きめの建物になりました。
一階にオフィスと生活スペース、水廻りまでを集約すると言うご要望が有りましたので、上下階の移動をせずに生活出来るよう(バリアフリー)に計画します。
・・・という事は、一つ問題が出て来ます。
正面南側の道路側は事務所になりますので、自ずと住宅部分は奥の北側になります。
つまり、奥へどうやって自然光を届けるかがキモになってきますので、二階ホール部分に大きな天窓を設置し、吹き抜けを通して下階のLDKに光を届けるプランを提案させて頂きました。
打ち合わせのスケッチ
実際に日の差し込むLDK
一階北側でこの明るさ
今回はLDKの照度を高く設定する必要が有ったのですが、天井付けの照明器具(シーリング)を沢山使うとスッキリした意匠が台無しになりますので少し特殊なご提案をさせて頂きました。
明るくハイパワーな照明を一直線に取付け、天井のセンターから少しずらす事で天井面が大きく見える様にしてみました。
説明されると理由がお分かりいただけると思いますが、なかなかわからないものだと思います。
美しいです。さすがぼく(笑)
クリエーターみんなが抱えている事だと思いますが、自分で考え出したデザインの場合は前例が無いので、施工事例も無いので、考えるべきことなどが沢山出て来ます。(ここにも沢山ありました)
デザインに自信を持って提案してしまった場合、あとから出てくる問題は解決するしかなくなりますよね。
人間、追い込まれると色々なアイディアと解決方法が浮かびます。
本当は少しドキドキしますが、お客様や所員には内緒です(笑)
違う角度から
パントリーの収納棚は、お手持ちの無垢板を移設しました。無垢の板は、経年変化で徐々に乾燥し、強度がゆっくりと増加していきます。
三段ボックスはすぐにダメになりますが、無垢の板は何十年経っても再利用して使えます。
一昔前に旧家の大工さんがこのシステムを考え出したそうなのですが、これがなかなか凄い機能を備えています。ご興味の沸いた方は、辻井に聞いてみてください。
実は、事務所はお着物関係のお仕事ですので、和の設えになっていて、畳敷にして、簡単な茶室としても使える様に、本格的な水屋も備えてあります。
お仏壇の下の襖戸は、襖紙を貼り替えて旧家から移設しています。
防音室
窓さえも無いので、なんにも面白くないですね(笑)
防音性能については、小さな実物模型を作って実証実験した上で作ってありますが、完成写真ではなにもわからないです・・・。
今回ダイニングテーブルとイスをフルレストアして頂きました。
美しい塗装面で木目が蘇ります。
一旦塗装を削り取って塗装をやり直すと言う事は、けして簡単なことではありません。費用はかかりますが良い物を大切使っていくという事は良いものだなと改めて感じました。
安い物を買った方が出費を抑えられますが、『もったいない』と思う日本人らしい文化を、もう一度考え直す時期に来ているのかもしれないと思います。ゴミ問題やCO2の問題もきっと緩和できると思います。
打ち合わせの最後に楽しかったと仰って頂きましたが、私は打ち合わせ以外の色々なお話を聞くのが楽しかったです(笑)
今もお伺いさせて頂くたびに、つい長居してしまうので、少し申し訳ないです。
おじいちゃん子だった私なのですが、祖父の家がここからそれほど遠くない場所でした。ここは北区の静かさや雰囲気など、空気感がよく似ています。居心地が良く、長居してしまうのは、そのせいかもしれないので許してください。
場所には空気感が有り、夕焼けの色や空の色さえ違うと思う辻井です。